葬儀と花~宗教による違い・神式
- 喪主
「仏教の葬儀と関わりの深い花としては、菊や蓮が挙げられる」と解説しました。
それでは、神式の葬儀ではどのような植物が使われるのでしょうか。
神式の葬儀でよく出てくる植物は「榊」
神式の葬儀において非常によく見られるのが、「榊(サカキ)」です。これは、モッコク科のサカキ属に属する植物であり、美しい緑色の葉っぱをもちぃます。この「榊」は神棚にもささげられるものであり、枕飾りなどにも用いられます。また、葬儀の際に、「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」として、祭壇にささげられるのもこの榊です。玉串奉奠は仏教における「焼香」の代わりとなるもので、非常に重要な儀式です。
このようなこともあり、神式の葬儀では、榊で祭壇をつくるやり方も取られます。
邪気を払うとされている榊は、かつては「供花」としても用いられていました。しかし現在では、供花として榊をお渡しする文化はそれほどメジャーではありません。榊は、現在では、不祝儀袋に書く表書き「御榊料」などの表現に残っているだけで、供花は一般的なお花で構成するやり方が多くなっています。ただし、喪主が榊を備えることはあります。
なお、仏教では蓮の花を、キリスト教ではユリや十字架を不祝儀袋に印刷したものも用いますが、神式の場合は無地の不祝儀袋を使うのが一般的です。
神式のときに使う花について
「榊で作った供花(フラワースタンド)」は神式でも用いられることがあまりありません。しかし、供花をささげる文化は、神式の葬儀でも見受けられます。
この際に使われる花は、仏式のときにもよく見られた「菊」などです。また、白いユリなどが用いられることもあります。黄色の花を使うこともありますが、「白」をベースとしてつくってもらうとよいでしょう。これは、「神式においては、特に『白』は、『穢れのない色』『新しい世界への旅立ち』『神聖な色』と考える向きがあるからではないか」と解釈されています。そのため、菊やユリにとどまらず、白いカーネーションなどを用いるケースも多くみられます。
仏式の葬儀と大きな違いはありませんが、胡蝶蘭などは避けるケースが多いようです。
神道と仏教は、もともとは一体となっていたものでした。そのため、葬儀に使う花についても、共通する部分がみられます。しかし「榊」と「樒」の区別ははっきりとなされますし、「神式によりふさわしい花」「仏式のときにより多く使われる花」はあります。このあたりは少し意識しておきたいものです。
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