「直葬」は、現在行われている葬儀のなかでもっとも簡素でシンプルな葬儀形態です。

この「直葬」のメリットについて見ていきましょう。

 

 

一番大きなメリットはやはり「費用」

 

直葬は、葬儀のなかでもっともお金がかからない葬儀のやり方だといえます。葬儀にかかる費用の平均は200万円程度だといわれていますが、直葬の場合はすべてを含めても20万円程度で終わらせることが可能です（葬儀会社によって違いがあります）。

 

一日葬や家族葬であっても、基本的には「宗教者を呼び、その人にお経などを読んでもらう」という工程が挟まれます。このときにお布施を渡す必要があるのですが、お布施は葬儀費用の約4分の1を占めるものであり、かなりの金額が出ていきます。しかし直葬の場合は無宗教でのお見送りとなることが多いため、この費用がかかりません。

 

また、一般的な葬儀においては、通夜ぶるまい（ただし一日葬の場合は省かれる）やその後の精進落としの席が設けられるため、飲食費用がかかります。しかし直葬の場合はこれもかかりません。

 

祭壇費用も限りなく少なくなります。また、葬儀会社のスタッフの人数も少なくて済むため、人件費もかかりません。

 

このようなことから、経済的な理由で直葬を選ぶ人もいます。また、「子孫に少しでもお金を残したい」と希望する人が、エンディングノートなどに「直葬で」と書きつけることもあります。

 

 

時間的な負担も少なくて済む

 

直葬は、「もっとも費用を抑えられる葬儀形態」であると同時に、「もっとも時間がかからない葬儀」でもあります。非常に短い時間で行われるため、体力面や時間的な負担も少なくて済みます。また、原則として家族でのお見送りになるため、ほかの人に気を使う必要もなく、お別れの時間をとることができます。労力面の負担も軽くなるため、これを理由として直葬を選ぶ人もいます。

 

また、「そもそも故人との関わりが非常に薄い」という場合にも、直葬は選ぶべき選択肢のひとつとなります。

生涯未婚率は、男性の場合は4人に1人、女性の場合は7人に1人程度の割合となっている現在、「血は繋がっているが、極めて遠い親戚」の葬儀を執り行わなければならない場面も出てきます。このような場合、故人の交友関係を把握していないことも多く、お知らせするべき相手もいないため、結果として簡素な直葬を選ぶのがベストの選択肢となることもあります。