葬儀とお供え~お淋し見舞いについて
- お葬式のマナー
葬儀には「地方差」があります。ある地方では当たり前とされていることが、ほかの地方ではまったく見られない風習だということもよくあります。今回はそのなかのひとつである、「お淋し見舞い」について取り上げます。
お淋し見舞いは愛知県や岐阜県で見られる風習
「お淋し見舞い」という風習は、ごく一部の地域で見られる風習です。愛知県や岐阜県、また三重県などで行われているもので、ほかの地方ではあまりみられません。ただし、「通夜見舞」などとして、お淋し見舞いとほぼ同じような風習が残っている地域もあります。
お淋し見舞いとは、「故人が亡くなって、忙しいさなかにあるご家族のためにお持ちするもの」です。一般的なお供えは信仰対象(神様や仏様など)や故人に捧げられるものであるのに対し、お淋し見舞いは「家族」を対象とするものであるという違いがあります。
「通夜のときはばたつくでしょから、これをお召し上がりください」「お寂しい気持ちが少しでも紛れますように」「長い夜を、これを召し上がってお過ごしください」といった気持ちを込めて贈るものです。また、ご家族に対してお渡しするものではありますが、同時に「故人を偲びその思い出話をするときにお召し上がりください」と考えて贈るものでもあります。
何を贈るべきなのか、表書きはどうする?
お淋し見舞いは、通夜のときに持参するものです。現金で持っていくこともあります。この場合は、2000円~3000円程度が相場です。
ただ、「お召し上がりください」という気持ちを込めるものですから、お菓子や飲み物を持参する方がより良いかもしれません。このときのお菓子として特によく選ばれるのが「饅頭」です。饅頭は、こしあんのものを選びます。
また、「とりわけがしやすいように」という理由で、小分けにされたお菓子を贈る場合もあります。饅頭がよく使われますが、洋菓子を贈っても構いません。日持ちするものならば喜ばれるでしょう。
飲み物としてよく選ばれるのは、お茶やコーヒーです。また、故人がお酒が好きな人であったのならば、お酒を選ぶこともあります。
掛け紙をする場合は、黒白の水引を使います。表書きは「御淋し見舞い」「御淋見舞」などです。不祝儀と同じように、自分の名前をフルネームで書きましょう。薄墨で書くのも、不祝儀との共通点です。
なお、お淋し見舞いは「不祝儀」の代わりにはなりません。お淋し見舞いを持っていく場合でも、不祝儀は別に用意しなければならないので注意してください。
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